食付き部とは
食付き部とは、タップの一部分の名称で、先端が斜めに払っているような形状をしています。
この部分が工作物に食い付いて、切削、または、盛り上げながら、ねじを加工します。
ハンドタップにおいては、食付き部の長さを表すのに、#1、#2、#3 とケースに表示されています。
現品には、その表示はありません。食付き部の長さは、ねじの山数(ピッチ)を用いて表します。日本では、先・中・上げとも表現されます。
#1:9山 9P (先)「さき」
#2:5山 5P (中)「なか」
#3:1.5山 1.5P (上げ)「あげ」
一般用タップの仕様として、スパイラルタップでは2.5山、ポイントタップでは5山ですが、種類や用途別のタップにおいてはそれ以外の食付き長さの物もあります。
食付き長さ |
A:先 B:中 C:上げ P:ねじのピッチ |
・食付き部の長さ
食付き部の長さは、有効ねじ長さを確保する為のタップ加工深さの計算に必要です。
ねじのピッチ×タップ食付き部の山数で算出できます。 メートルねじのピッチ間の距離(mm)M10×1.5なら、1.5(mm)
・ ユニファイねじのピッチ
ねじの呼びでは1インチ間の山数で表示。
25.4(mm)÷山数で1山(ピッチ)の長さを算出
例:M10×1.5 食付き部5山のタップの場合
食付き部の長さ=1.5×5=7.5(mm)
特に、下穴深さに制限がある止り穴では、タップを入れられる深さにも制限がある為、食付き長さを考慮したタップの選定が必要です。
通り穴 | 止り穴 |
A:食付き B:有効ねじ長さ C:食付き部長さ D:不完全ねじ長さ |
食付き部はタップの切れ刃部分に当たり、食付き部が長いと負荷は少なくなりますが不完全ねじ部が長くなります。
食付き部が短いと負荷は大きくなりますが不完全ねじ部は短くなります。