めっき処理に対して必要なタップのオーバサイズ量は、めっきの膜厚から計算します。
めっきの厚みが加わった状態がねじのどこの部分の径が大きくなる事を考慮すべきかというと、それはねじ山の斜面(フランク)の部分の径である「有効径」です。
メートルねじやユニファイねじのように、ねじ山形が全角で60°のめねじにめっきがかかった場合、直角三角形の3辺比=1:2:√3にて、計算予測が可能です。
ねじの有効径へのめっき厚分の加算量は、片側でめっき厚の2倍。径なので、両側では4倍です。よって、めっき厚の4倍が、タップ選定時のオーバサイズの目安となります。
オーエスジーでは、タップ精度表記で2級相当のねじ精度を狙うのに標準的(スタンダード)という意味の「STD」というものがございます。オーバサイズのタップは、その旨を表すのに、このSTDに対して+1や+2といった表記がケースにございます。
STD+1するごとに、ピッチが0.6以下の場合は15μm(マイクロメートル)、ピッチが0.7以上の場合は20μmのオーバサイズという目安になります。
例えば、5のめっき厚であれば、必要なタップのオーバサイズ量は4倍の20μmでSTD+1。10のめっき厚であれば、必要なタップのオーバサイズ量は40μmでSTD+2という選定の目安になります。
※オーバサイズに対するゲージの選定においては、「何を満たすことを検査したいか?」が重要です。例えば、めねじを2級よりも+0.03mm大きく加工したことを検査したい場合は、「2級+0.03」のプラグゲージを使用します。
オーエスジーでは標準在庫品として、従来JISの2級のメートルねじ用ゲージは、プラグで「2級+0.03」。リングで「2級-0.03」。 ISO等級では、プラグゲージのみで「6H+0.03」のご用意がございます。
お客様との打ち合わせの中で、標準ラインナップに無いオーバサイズのタップとゲージが必要になる場合もございます。
その際には、特殊品でのタップとゲージの製作をご検討下さい。