工具の母材に限らず、様々なものには「硬さ」と「じん性」の関係があります。
・硬ければ硬いほど、摩耗しにくいですが、欠けやすくなります。
・じん性があればあるほど、欠けにくいですが、摩耗しやすくなります。
膜の硬さの表記
HV ・・・ ビッカース硬さ。
GPa ・・・ ナノインデンテーション法による硬さ。
薄い膜厚に適した膜の硬さ測定が可能。
「硬さ」と「じん性」は、反する性質であり、両方を兼ね備えた「1つの物質」はありません。しかし、昨今の高能率な加工に必要な工具には「硬く、ねばい(欠けにくい)」性質が求められます。それを両立させるために、「じん性がある母材」に「硬さをもつコーティング」を施す方法が開発されました。
また、コーティング自体も例外でなく、硬ければ硬いほど、もろく欠けやすいものになります。最近のコーティングには、「硬ければ硬い程よい」ではなく、「欠けても性能を維持できる」仕様が開発されております。「欠けても性能を維持できる」仕様というのが、異なるコーティングを幾重にも重ねた「複合多層コーティング」です。
特に、クーラント使用時の激しい温度変化によるコーティングの割れである「 サーマルクラック 」に有効な仕様です。最新のコーティングには、さらに付加価値の付いた仕様になっております。
~注意~
ここで、知っておいていただきたいのが、コーティングはあれば良いというものではありません。加工の内容によっては、コーティングが悪影響を及ぼしてしまうこともあります。一例として、一般用のノンコートのタップに追加でTinコーティングをかけ、加工したところタップ切りくずのボリュームが大きくなり、切りくずの噛み込みを起こしてしまった等があげられます。
☆工具を設計する際には、「切削」から「切りくずの排出」までが
考えられたものになっております。
製品として売っている工具は、その加工用に工夫された仕様を持っております。(コーティング付きのタップでも切りくずがコンパクトになる仕様がついている等)ドリルやエンドミルにも、同様のことが言えます。
※つまり、コーティングを含めて工具を選定するには、
加工内容を確認するのが必要不可欠になります!
<コーティングと工具選定のまとめ>
加工内容をご確認の上、ステンレス用、チタン合金用などの特定の被削材用から選定する方法や、カタログ記載の対応被削材より選定することをおすすめ致します。また、オーエスジーでは、多種多様な被削材や加工条件で優れた機能を発揮する汎用性の高い工具シリーズ「Aブランド」製品のご用意がございます。合わせてご検討下さい。
オーエスジーでは、日々の業務に役立つ情報を様々な方法で展開しております。
・eラーニングスクール(WEB学習教材)
インターネットで工具の基礎知識や実践的な技術を習得できる、OSGのeラーニングスクール。パソコンの前に居ながら目の前でセミナー受講している感覚で、手軽に自分のペースで学べます。新入社員教育、スキルアップにご活用ください。
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初心者からベテランまで、レベル・分野別コースで切削工具の知識・技術を学ぶ、テクニカルセミナ。工場見学やデモ実演、実習など、効果的なカリキュラムをご用意しています。