オーバサイズとは、一般的なねじ精度より大きめのねじのことです。大きめのねじを作る理由として、めねじにめっき処理をする、製品の熱処理をした際のひずみによる変形を見込む、など様々です。タップでは、オーバサイズのねじを加工する際にタップ側が少し大きめ(オーバサイズ)である必要がありますが、スレッドミルでは加工パスを調整することで同じ工具で対応が可能です。下記に、スレッドミルでのシーン別のオーバサイズのねじを加工する方法を紹介します。
ゲージ合格のための軽微な径補正の場合
プログラムはそのままで径補正の調整にてご対応ください。その際、位置ずれを防ぐためにワークのクランプは取り外さずに行ってください。
図面指示などで必要なオーバサイズ量がわかっている場合
ThreadPro(スレッドプロ)で対応が可能です。
・呼び
スレッドプロのねじサイズの選択の画面において、ねじの種類は「カスタム」を選択してください。
「カスタム」を選択した場合、ねじの呼びが自由に入力できるようになるので、ここで指定の呼びにオーバサイズ量(径)を含めた値を入力します。
※M10に+0.3mm図面に指定がある場合
10 + 0.03 = 10.03 10.03を呼びに入力する。
※めっき前の場合:めっき厚の4倍量をねじの呼びに追加してください。
M10のねじに20μm(0.02mm)のめっき厚のめっきが処理される場合・・・10 +(0.02×4)=10.08 10.08を呼びに入力する。
・ピッチ
ピッチは指定のままの数字を入力ください。
・下穴
下穴は、めっき処理がない場合は切削タップ下穴の範囲でよいです。
めっき処理がある場合は、「切削タップ下穴」から「めっき膜厚の2倍」を足した値を入力ください。
・量産加工の場合
量産加工などで工具の耐久を向上させたい場合は、ThreadProのねじサイズ選択の画面内にて、ねじの種類「カスタム」を選択し、ねじの呼び(D)の入力欄に ねじの呼び(D)+必要なオーバサイズ量(めっき厚の4倍)の値を設定されることをおすすめします。
(FAQID:14805)